エイリアン(1979)
ALIEN
日本公開日 1979年7月21日
SF、ホラー、モンスター映画のたぐいは「B級」扱いされがちでしたが、この映画はその思い込みを払拭、SFホラーの名作が誕生しました。
物語の舞台は宇宙船という閉鎖空間。未知で異様な生命体が次々に乗組員を襲い、外は広大な宇宙で逃げ場もない状況です。キャッチコピー「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」は、最後に1人残されたリプリーがエイリアンに立ち向かう絶望的な状況を見事に言い表していました。エイリアンの姿が完全に見えない演出も、不気味さを一層際立たせていました。
さらに、異星の船内やエイリアンのデザインは、プログレバンド「ELP」のアルバムジャケットで知られる、H.R.ギーガーによるものです。悪魔的+男根的なイメージを、メカニカルと有機的な質感で表現する彼独自のダークなスタイルが、映像化されただけでも強烈なインパクトを残しました。これにスリリングな演出が加わって、今や大巨匠のリドリー・スコット監督の出世作となりました。
後に「ホドロフスキーのDUNE」というドキュメンタリーで、『DUNE』の映画化を目指してホドロフスキー監督が集めた才能あるクリエイターたちが、映画化が頓挫したのち『エイリアン』に流れて行ったことを知りました。もしかすると、これが映画史的には正しい道筋だったのかもしれません。
余談ですが、『エイリアン』のチラシには2種類ありました。そのうち、卵が宙に浮かぶデザインは後にビデオやLDのジャケットで定番になりましたが、当時は「何だかよくわからない」とも言われていました(かっこいいのに)。一方、チラシを集めていた少年たちには、出演者が並んだデザインの方が人気だったのを覚えています。