映画チラシのデジタルアーカイブサイト

ソドムの市

Salò o le 120 giornate di Sodoma
日本公開日 1976年9月25日

ソドムの市[チラシ表]
ソドムの市[チラシ裏]

公開当時、私はまだ小学生高学年でしたが、愛読していた映画雑誌「スクリーン」の新作紹介ページには、洋画ポルノも紹介されており、その最後にパゾリーニ監督の新作『ソドムの市』も取り上げられていました。過激な描写が話題となり、センセーションを巻き起こしていた作品です。

大人になってから、ついにこの作品がDVDでリリースされ、予約して手に入れました。
長年関心を寄せてきた作品をようやく鑑賞できるという高揚感がありましたが、その内容は思っていたものと少し異なりました。

映画は、サロで権力を握る4人の支配者が、美少年や美少女たちを館に閉じ込め、変態的な遊びにふける様子を描いています。
集会の間に集まり、語り部が「快楽のエピソード」を語ると、それを少年少女らで試してみようとなるわけです。
有名な便を食するシーンは、撮影では高級なチョコレートを使っていたと知っていたので、込み上げてくることはありませんでした。
そして「お遊び」はだんだんとエスカレートしていき、最終的には死に至る拷問へと進んでいきます。

この映画のテーマは、特殊な性癖を扱っているものの、画面全体には格調高い雰囲気が漂っています。
権力者たちが彼らを「モノ」ではなく、意志を奪われた生身の人間として扱う点に背徳感が色濃く出ていました。モノ=人形では、エキサイトしないのでしょう。
権力によって自由と意思を奪い、支配下に置くというテーマは、人間関係や組織の中にも存在しており、単なるセンセーショナルな作品に留まらず、普遍的なメッセージを内包していました。

なお、DVD版では、少年たちの性器にぼかしが入っていませんでした。それは、フェイクの陰茎を被せていたからのようです。