ブラックホール（1979）

THE BLACK HOLE
日本劇場公開日 1980年12月20日

『ブラックホール』は、宇宙の彼方で消息を絶った巨大宇宙船と遭遇した探査チームが、謎の天才科学者とブラックホールの存在に直面するSF映画。重厚な美術とシリアスな語り口は、当時のディズニー映画としては異色で、大人向けSFとして紹介されていました。

この作品によって、「ブラックホール」という言葉を初めて知った人も多かったと思います（僕もその1人です）。無限に引き込まれる宇宙の闇という概念は、難解でありながら強い想像力を刺激する存在として受け止められていました。善悪の境界が曖昧な人物造形や、不気味なロボットたちの描写も印象的でした。

公開当時は、『スター・ウォーズ』以降の宇宙SFブームの中で、派手さよりも重さを選んだ作品として評価が分かれていましたが、科学と狂気、救済と破滅を同時に描こうとした意欲作だったと言えます。今振り返ると、70年代末のSFが抱えていた不安や好奇心を、そのまま映し出した一本だったように思います。