犬神家の一族(1976)
劇場公開日 1976年10月16日
日本映画界に新風を吹き込んだ角川映画の記念すべき第一弾が、この横溝正史原作・市川崑監督による「犬神家の一族」です。
角川映画は、宣伝に力を注ぎ、横溝正史の文庫フェアと組み合わせたメディアミックス戦略で、映画のみならず横溝正史ブームまで巻き起こしました。その宣伝の影響で、「犬神家の一族」といえば、ポスターや文庫版表紙に描かれた和服姿の女性のイラストと、”あの”水面から突き出した足が、頭に浮かぶようになってしまいました。
金田一耕助シリーズは数多く映像化されてきましたが、私にとっての二大巨頭はやはり[石坂浩二]と[古谷一行]の金田一です。石坂さんの金田一は、少しイケメンすぎるかな?と思いつつも、頼りない雰囲気に飄々とした魅力があって、ショッキングなシーンや重いテーマとのバランスを見事に取ってくれる存在でした。
石坂浩二と市川崑監督のコンビによるこの作品は、映像がとてもスタイリッシュで、当時の日本映画としてはしっかり予算をかけて作られた「映画らしい映画」という充実感がありました。女優の撮り方や、伝統的な日本の街並み・家屋の映し方がとても美しく、編集のカッティングも気持ちよく決まっています。
特に市川崑監督ならではのオシャレなタイトルデザインが印象的です。大きな太明朝体の白文字のL字型配置は、見ただけで真似したくなるかっこよさがあり、「エヴァンゲリオン」にもその影響が受け継がれていますよね。この作品は、その後の金田一耕助シリーズ映像化のスタンダードを確立したと思います。
▼ YouTube動画から
*【犬神家の一族】全シーン全カットがカッコいい! 映画のここを見てくれ!(独自解説)|守鍬 刈雄のお暇なら映画でも(YouTube)
市川崑監督の映像へのこだわり、キレッキレな演出/編集を、事細かに解説してくれています。