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恐怖の報酬(1977)

Wages of Fear
日本公開日 1978年3月25日

恐怖の報酬(1977)[映画チラシ表面]
恐怖の報酬(1977)[映画チラシ裏面]

『エクソシスト』のウィリアム・フリードキン監督が手がけた本作は、1953年のフランス映画『恐怖の報酬』を独自のアプローチでリメイクした作品です。
南米の奥地を舞台に、命がけで爆薬を運ぶ男たちの旅路を、圧倒的な映像と音響で描き出しています。タンジェリン・ドリームによる不穏なスコアが緊張感を高め、セリフを最小限に抑えた演出が、かえって多くを物語ります。

しかし公開当時、この作品は配給会社の意向により、監督の意図に反した編集が施され、興行的にも批評的にも高い評価を得ることはできませんでした。
実を言えば、私自身も当時はオリジナル版があまりに完成度の高い傑作だったため、「なぜリメイクを?」と懐疑的になり、劇場には足を運ばなかったひとりです。

2010年代になって、監督自らが複雑に絡んだ権利関係を整理し、構想どおりの“完全版”がようやく公開されると、作品への評価は一変しました。緊張感あふれる映像と冷徹な人間描写が再評価され、「埋もれていた傑作」として脚光を浴びるようになりました。
現在では、1970年代アメリカ映画を代表する一作と広く認められています。