滅びゆく大草原(1954)
THE VANISHING PRAIRIE
リバイバル公開:1977年4月29日「星の国から来た仲間」と併映


『滅びゆく大草原』は、ディズニーが製作した動物ドキュメンタリー映画で、アカデミー賞・長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した作品です。日本では1977年に、ディズニーの子ども向け実写SF映画『星の国から来た仲間』との二本立てとしてリバイバル公開されました。
ディズニーはこの時代、多くの動物ドキュメンタリーを映画やテレビ番組として制作していました。動物の行動を、アップを交えた細かなカット割りで、まるでドラマのように見せる演出は、ちょっと驚きでもありました。
2025年の現在では、NHKやBBCの自然番組で同様の表現を見ることができるため、当たり前に感じるかもしれませんが、これは撮影クルーが動物の生息地に長期間張り付き、膨大な素材を撮影したうえで成り立っているものです。しかも当時はフィルム撮影の時代であり、その労力と執念を思うと、あらためて驚かされます。
なお、この二本立て公開の後、日本でディズニー作品を配給していたブエナ・ビスタ映画日本支社が解散・閉鎖するなどの混乱があり、資料によれば2年以上にわたってディズニー映画が日本で公開されない時期が続きました。
1970年代って、ディズニー映画の低迷期なんですよね。
ウォルト・ディズニーの死後、『リトル・マーメイド』(1989)以降のディズニー・ルネサンス期まで、テレビアニメに押されて作品のクオリティが低下、ヒットに恵まれなかったのです。たとえば『おしゃれキャット』の頃には、作画を透明セルに線を写しとる工程で、コピーの仕組みを応用したトレスマシンが導入され、輪郭線が黒く見える独特の画面が特徴となっています。
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