哀しみのベラドンナ
Belladonna of Sadness
劇場公開日 1973年6月30日
![ベラドンナ_1 - あの頃の映画チラシ 哀しみのベラドンナ[映画チラシ 表面]](https://eiga-flyer.com/wp-content/uploads/2026/01/ベラドンナ_1-1380x1961.jpg)
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『哀しみのベラドンナ』は、虫プロダクションによる、「魔女狩り」の中世フランスを舞台にした、美術品のような独自の存在感をもつアニメーション作品。領主によって理不尽に純潔を奪われた農婦ジャンヌが、絶望の淵で悪魔と契約を交わします。彼女は強大な魔力を手に入れる代償として、村人から追われ、やがて魔女として裁かれる凄絶な運命へと導かれていきました。
今作の最大の特徴は、イラストレーター・深井国氏が描いた、クリムトやビアズリーを彷彿とさせるアール・ヌーヴォーとサイケデリックカルチャーを融合させた美術の力です。あえて「動かない」一枚絵を絵巻物のように長尺の横移動で見せたり、サイケデリックな色彩演出、エロティックなシーンの観念的なアニメーションは、挑戦的で前衛的でした。興行的には苦戦し、虫プロ倒産の引き金の一つとも言われていますが、近年では海外を中心に再評価熱が高まり、4K修復版が公開されるなど、その芸術的価値が見直されています。
私がこの作品を観たのは、多感な高校生の時で、芸術系大学の学園祭での16mm版上映会でした。「動く絵画」による幻覚体験のようで、アニメーション表現の豊かさに、打ちのめされた記憶があります。女性の情念と哀しみが、70年代特有の空気感と共に生々しく迫ってきます。後世に語り継いでいきたい作品の1つです。
制作した虫プロダクションの倒産とともに、今作の美しい原画は紛失してしまいました。
2024年、竹熊健太郎氏(編集家・電脳マヴォ合同会社)が発起人となり、原画復元プロジェクトがクラウドファンディングを通じて実施されました。4Kリマスターされた映像データを元に、AIによる高画質化と人の手による緻密なレタッチを組み合わせ、さらに深井国氏本人が監修を入れることで、当時の原画の質感を「実在する絵」として復元しました。
*[参考リンク]長篇アニメーション映画『哀しみのベラドンナ』の失われた美術原画を復元し、アート作品として甦らせたい
▼ A Tragédia de Belladonna (1973) – COMPLETO e LEGENDADO