狼よさらば
Death Wish
日本公開日 1974年11月2日
「荒野の七人」のチャールズ・ブロンソンが、この作品では成功した建築家として登場します。リベラルな価値観を持っていた彼が、不良少年に妻を殺され、娘を襲われたことをきっかけに、犯罪者を銃で次々と殺す男へと変貌していきます。復讐のために始めたはずの行動が、次第に犯罪者を撃つことに快感を覚え、やめられなくなっていく過程は、観ていて怖いものがあります。
当時のニューヨークは治安が悪く、彼のような「自警団的な存在」は市民から歓迎されるという描写もあります。物語の構成だけを見れば「バットマン」を思わせるような部分もありますが、この作品の怖さは、もともと普通の市民だった男が暴力に依存していくことです。あなたの中にもその芽はあるかもよ、という警告です。
結果として、この映画は自警主義に対する支持を社会に広める一因となり、近年の「ジョーカー」のように、時代と社会の不安に共鳴して作品が勝手に大きく広まっていった面もあったようです。