天国にいちばん近い島
劇場公開日 1984年12月15日
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『Wの悲劇』と同時上映された、大林宣彦監督、原田知世主演の『天国にいちばん近い島』。森村桂が1966年に発表した同名作を原作にした映画で、公開された1984年から見れば約20年前のベストセラーを映画化した作品でした。
亡き父から聞かされた「天国にいちばん近い島」を探して、桂木万里(原田知世)がニューカレドニアへ旅に出ます。
公開当時に観た素直な印象は、とにかくニューカレドニアの自然が美しく、その風景の中で原田知世を最高に愛らしく撮った、観光アイドル映画といったものでした。青い海、白い砂浜、緑豊かな島々。その中に立つ原田知世を見ているだけでも心がポカポカしてきて、「こんなところへ行ってみたい」と思わせる映画だった記憶があります。
ところが後年、大林監督のほかの作品をいろいろ観ていくうちに、この映画の印象も少し変わってきました。原田知世が旅先で出会う人々を通して、美しい島にも戦争という過去があり、日本人や日系人がそこに暮らしてきた歴史があることを、映画は感情的にならず、静かに語っています。
さらに撮影当時のニューカレドニアは、独立をめぐる社会的な緊張を抱えていた時期でもありました。
「こんなに美しい場所なのに、人間はなぜ争うのだろう」。そんなことを「あなたも考えてみて」と、やさしく差し出してくる。かつて観光アイドル映画のように見えた『天国にいちばん近い島』も、大林作品を重ねて観たあとでは、ずいぶん違った映画に見えてきます。
▼ 【劇場公開当時予告】『天国にいちばん近い島』|角川シネマコレクション