病院坂の首縊りの家
劇場公開日 1979年5月26日
横溝正史の当時最新作だった『病院坂の首縊りの家』を、石坂浩二と市川崑監督のコンビによる金田一耕助シリーズ第5作として映画化されたものです。
物語は、金田一が横溝先生の家を訪れ、「しばらく旅に出る」と告げるところから始まります。
パスポート用の写真を撮るため、先生オススメの写真館へ行くと、そこの主人に「殺されそうになったから調査してほしい」と頼まれ、写真館で働く青年(草刈正雄)の協力を得て、金田一の調査が動き出します。
草刈さんが演じる青年は、『犬神家の一族』の頃の金田一が持っていた人間くささがあり、どこか達観した存在になった金田一を補間するような存在でした。(石坂さん、草刈さんとも、ほんとイケメンで惚れ惚れ)
そして、この作品の肝は、桜田淳子さんの一人二役の演技。初々しい演技で頑張ってたと思います。
ただ、全体の陰惨さはかなり抑えられていて、セリフで語られる内容はそれなりにエグイのですが、肝心の映像で表現されていない場面が多く、「首縊り」のシーンも見られなかったのは少し物足りなく感じました。
最後、金田一がすでに旅立ったことが示され、石坂浩二&市川崑監督コンビによる東宝での金田一シリーズがこれで終わりなのだと感じると、一抹の寂しさが…。とはいえ、最初の3作のレベルを超えるのが難しいなら、ここでシリーズに終止符を打つのもやむを得ないのかな、という気持ちも入り混じりました。
*作品とは関係ないのですが、「浅草東宝」は邦画の映画館としてはスクリーンが大きく、クレイジーキャッツ映画や東宝特撮映画の特集が組まれたオールナイトに、大学生の頃よく足を運んでいました。懐かしいです。