オール・ザット・ジャズ
All That Jazz
日本公開日 1980年8月30日
ブロードウェイの振付・演出家であり映画監督でもあるボブ・フォッシーの自伝的作品です。
フォッシーを投影した主人公:ジョー・ギデオンを演じるのは、「ジョーズ」のロイ・シェイダー。
ジョーは、毎朝気だるそうに起きると、洗面所で目薬をさし、錠剤を飲んで、鏡に向かって「It’s showtime!」と自分を奮い起こすルーチンを行います。そして舞台を作り上げるための多忙な日々に向かうのです。
ところが、舞台が幕を開ける前についにジョーが倒れてしまうのです。
映画のダンスシークエンスはとてもクリエイティブでエロティック。これがフォッシーの振付の才能だぜ!と見せつけられた思いでした。
そして舞台を作り上げる過程は、クリエイティブな面ばかりでなく、様々な雑多な問題を解決していくことでもあると、この作品は教えてくれました。
僕はこの作品にすっかり影響されて、若い頃は仕事に向かう前、鏡の前で笑顔を作り「ショータイム!」と言って気合を入れるマネをしていました。
ボブ・フォッシーの振付から生まれた「フォッシー・スタイル」と呼ばれる独特のダンスの動きがいくつもあります。
アメリカのダンス勝ち抜きリアリティショー『アメリカン・ダンス・アイドル』でも、審査員が「あそこはフォッシー・スタイルね」とコメントする場面が何度かあり、ダンス界隈では知ってて当然のことなんだと思い知りました。
ちなみにタイトルの「All That Jazz」は、フォッシーが手がけたブロードウェイ作品『シカゴ』(1975年)の代表曲からとられています。この作品は、ある意味『シカゴ』のフェイク・メイキング・ストーリーと解釈して観るべきなのかもしれません。
*第33回カンヌ国際映画祭・最高賞「パルム・ドール」受賞
*アメリカ国立フィルム登録簿 登録作品