お葬式
The Funeral
劇場公開日 1984年11月17日
![[お葬式 映画チラシ表面]](https://eiga-flyer.com/wp-content/uploads/2026/10/お葬式_1-1380x1953.jpg)
![[お葬式 映画チラシ裏面]](https://eiga-flyer.com/wp-content/uploads/2026/10/お葬式_2-1380x1950.jpg)
「お葬式」という題材を、そのままタイトルに掲げた、俳優やエッセイストなど、多彩な活動で知られていた伊丹十三の初監督作品です。
映画の題材としては意外性がありますが、親族の葬儀を経験した人なら、故人を偲ぶ時間も十分に取れないまま、ただただ慌ただしく過ごした記憶があるのではないでしょうか。そう考えると、お葬式という一連のプロセスを丁寧に拾っていくだけでも、実は面白い映画になるのだと、この作品に気づかされました。
妻の父親が突然亡くなり、初めて葬儀を取り仕切ることになった俳優夫婦。葬儀の作法も段取りもわからないまま、次々と押し寄せる弔問客への対応に追われ、慣れない儀式に右往左往する姿を、ユーモアたっぷりに描いています。
主人公は俳優でありながら、喪主としての挨拶にプレッシャーを感じている。その姿が面白い一方で、愛人が訪ねてきて大慌て、というエピソードは、ちょっと余計だったかな……とも感じました。大人の観客に向けたサービスだったのでしょうか。
伊丹十三監督の作品は、エンドタイトルやポスタービジュアルなどに、デザイナーがしっかり関わっていることが感じられるのも特徴的です。それは、映画業界というよりも、出版業界に通じるセンスがあるからなのかな、と当時から感じていました。
それもコミック誌ではなく、大人が読む文芸雑誌や小説などに通じる、独特の佇まい。そうしたセンスが映画の随所にも表れ、大人向けの洒落たユーモアとして伝わってくるように思います。
1980年代は、洋画ではスピルバーグ監督作や製作作品を中心に、子ども心を忘れない、幅広い観客に向けたエンターテインメント映画が席巻していた時代です。
そんな時代に、まるでそれに対抗するかのように、「大人の映画好き」に向けた作品を送り出す伊丹十三のスタンスは、題材の選び方も含めて、とても独特なものでした。
宮本信子、山﨑努をはじめとする俳優陣の自然な演技も素晴らしかったです。
*第8回日本アカデミー賞(1985年):最優秀作品賞、最優秀監督賞・脚本賞(伊丹十三)、最優秀主演女優賞(宮本信子)、最優秀主演男優賞(山崎努)、最優秀助演男優賞(津川雅彦)受賞
*第58回キネマ旬報ベスト・テン:日本映画ベスト・テン1位
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