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異人たちとの夏

劇場公開日 1988年9月17日

[異人たちとの夏 映画チラシ表面]
[異人たちとの夏 映画チラシ裏面]

大林宣彦監督が山田太一の同名小説を映画化した、切なくて、どこか懐かしい大人のファンタジー。
幽霊が登場する怪談映画なのですが、私にとっては、亡くなった家族への思いを描いた、忘れられない作品です。

妻と離婚し、マンションで一人暮らしをしているシナリオライターの原田英雄(風間杜夫)。
ある日、幼い頃に暮らした浅草を訪れた彼は、すでに亡くなっているはずの父親(片岡鶴太郎)と母親(秋吉久美子)にそっくりな夫婦と出会います。
そこには、昔のままの浅草と、若く元気だった頃の両親の姿がありました。

この映画で何度観ても涙が出てしまうのが、英雄が両親と最後の別れをするシーンです。
カットバックを重ねるたびに、両親の姿が少しずつ薄くなり、やがて消えていく。あの演出が、たまらなく切ないんです。

自分の親を亡くしたとき、元気だった頃の姿のまま、家族で一緒に暮らした日々がずっと続いてくれたらいいのに、と願ったことを覚えています。
だからこそ、過去の浅草で両親と再会し、もう一度家族の時間を過ごす英雄の気持ちに、強く共感してしまいました。

実は私、この両親との別れを描いたところで、もう映画一本分の感動を味わってしまいました。
なので、その後、現実に戻った英雄が、彼に思いを寄せる女性・ケイ(名取裕子)の幽霊に襲われる展開には、ちょっと戸惑ってしまったんです。
本来はこちらも物語の重要な軸なのですが、私の中では、浅草の両親との再会があまりにも強く心に残ってしまったんですね。

夏の怪奇映画として公開されたこともあって、チラシのデザインはどこか不穏で、サスペンス色の強いもの。
「あれ? こんなチラシだったっけ?」と、自分の中にある作品のイメージとのギャップに戸惑ってしまいました。

後に発売されたビデオソフトのジャケットや、再上映時のチラシに使われている、浅草で両親と幸せそうに過ごす写真。
私にとっての『異人たちとの夏』は、やっぱりこちらのビジュアルなんです。

▼ 2024年 地方上映版のチラシ
[異人たちとの夏 地方版チラシ表面]
[異人たちとの夏 地方版チラシ裏面]

そして2024年、山田太一の原作がイギリスで再び映画化され、『異人たち』というタイトルで日本公開されました。
アンドリュー・ヘイ監督が主人公をゲイ男性に置き換え、亡くなった両親との再会に加えて、孤独を抱えた男性同士の恋愛を描いた作品です。

こちらも鑑賞しましたが、やはりとても切なくて、素敵な映画でした。
舞台も登場人物も大きく変わっているのに、もう一度だけ大切な人に会いたい、失われた時間を取り戻したいという思いは、どちらの作品にも通じています。

▼ 異人たちとの夏-予告編-|baziri5

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