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陽炎座(かげろうざ)

劇場公開日 1981年8月21日

[陽炎座 映画チラシA 表面]
[陽炎座 映画チラシA 裏面]
[陽炎座 映画チラシB 表面]
[陽炎座 映画チラシB 裏面]

劇作家・松崎(松田優作)は、奇妙な偶然が重なり、謎の美女・品子(大楠道代)と三度出会います。
やがて品子から「四度目の逢瀬は恋になります。死なねばなりません」と心中を誘う文を受け取り、彼女のいる金沢へ向かいます。

その周囲では、現実なのか幻想なのかも定かではない出来事が次々と起こります。
前作『ツィゴイネルワイゼン』とはまた違った形で、女性の情念や心中、生と死、この世とあの世の境目が描かれ、世界全体が現実からふわりと浮き上がって、芝居や夢の中へ入り込んでしまったような感覚がありました。

謎めいた女性の謎めいた台詞。金髪を日本髪のように結った和服姿の女。
人形の下に開いた穴を覗くと、その中では男女のまぐわいを思わせる小さな細工人形が動いているという奇妙な儀式。

台詞だけを聞けばひと続きの場面であっても、映像は時間や空間のつながりを平然と飛び越え、一つひとつの画を強く焼きつけながら進んでいきます。

そして、物語がいよいよ混沌としてきたところで現れる、田舎のさびれた芝居小屋。
ここで、それまで見てきた出来事のあらましが、芝居という形であらためて演じられます。
芝居の内容が、それまで現実として見てきた出来事と重なっていく。その怖さと、いったい何を見せられているのか分からない不安。
やがて「ああ、そういう物語だったのか。たしかにそうだ」と、それまでの断片が急につながっていく、謎解きにも似た展開を迎えます。

現実と芝居の境目まで曖昧になり、映画そのものが巨大な見世物小屋の中で展開しているようでした。

この映画を初めて観た場所が、ドーム・テント「シネマ・プラセット」だったことも、作品の印象と切り離せません。
テントの内部は、映画館というより小さな芝居小屋のような空間。

映写機とスクリーンの距離が近いためか、映像の色は驚くほど鮮やかでした。狭い空間にぎゅっと集まった観客たちは、目の前に現れては消えていく夢のような映像を、まるで術をかけられたように見つめています。

映画を観終わってからも、その余韻はなかなか消えません。
一緒に観に行った彼女とは、その後しばらく、映画の台詞を真似したり、印象に残った場面を再現したりする「陽炎座ごっこ」をして遊んだものです。

その彼女は、今も私の妻として隣にいて、共に歳を重ねています。

映画館を作った話。(note)|Meguru Ishida
シネマ・プラセットのドーム型テントを設営/撤去作業を経験された方の貴重な記事

鈴木清順 生誕100年記念「SEIJUN RETURNS in 4K」公式サイト|リトルモア

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