ダブ

THE DOVE
日本公開日　1975年8月2日

16歳のロビン・リー・グレアムが小さなヨットで世界一周した実話をもとに描く『ダブ』は、青春と冒険の記録であると同時に、映像美の魅力に満ちた一本です。
撮影を手がけたのは、イングマール・ベルイマン作品で知られる名撮影監督スヴェン・ニクヴィスト。彼のカメラがとらえる大海原、孤独な航海者の表情、寄港地ごとの異国の風景は、ドキュメンタリーのようなリアルさと詩情をあわせ持ちます。
人工光に頼らず自然光を活かす彼の技法が、海や空の移ろいを繊細に映し出し、物語に静かな力を与えています。

この作品のプロデューサーを務めたのは、名優グレゴリー・ペック。
ペックは、1960年代後半の作品に対する不満から、俳優業を一時休止し、プロデューサーとしての道を模索していました。彼は『ナショナル・ジオグラフィック』誌でグレアムの航海記を知り、その物語に魅了され、映画化を決意。自身の資金で原作の映画化権を取得し、EMIフィルムズとパラマウント・ピクチャーズの協力を得て製作を進めました。