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自由の幻想(1974)

LE FANTOME DE LA LIBERTE
日本公開日 1977年11月19日

自由の幻想(1974)[映画チラシ表面]
自由の幻想(1974)[映画チラシ裏面]

『自由の幻想』は、ルイス・ブニュエルが晩年に手がけた作品で、これまで彼の映画に触れたことがない人にもおすすめできる、比較的わかりやすい一本です。

内容は、トイレで食事をしたり、殺人犯が裁判所でにこやかに握手を交わしたり、死んだはずの妹から電話がかかってきたりと、現実ではあり得ないような不条理な出来事が次々と起こっていきます。しかも、それぞれのエピソードは人物をバトンのように繋ぎながら展開していく、まるで連想ゲームのような構成。ナポレオン時代から現代のフランス、さらには動物園のダチョウまで、時間も場所も自由自在に飛び越えていきます。

一見ふざけたコメディのようですが、ブニュエル独特のシュールで皮肉たっぷりのユーモアが詰まっていて、実はとても真面目に“自由とは何か”を問いかけてくる作品でもあります。夢の中を漂っているような不思議な感覚が続き、現実と幻想の境界があいまいになっていくのも魅力のひとつ。

ちなみに、伊丹十三監督の『タンポポ』で見られる、メインのラーメン作りの話に短いグルメのエピソードが挟まれるあの構成。最初はエッセイ風の演出かと思いきや、実はこの『自由の幻想』が下敷きになっていたことに、あとになってわかりました。

80年代前半に、ルイス・ブニュエル作品が一挙に連続上映された時期があり、映画ファンの間では「どれも必見」と流行りました。