
ルードウィヒ 神々の黄昏(1972)
Ludwig
日本公開日 1980年11月8日


『ルードウィヒ』は、ヴィスコンティの「ドイツ三部作」*を締めくくる作品で、バイエルン王ルートヴィヒ2世(ヘルムート・バーガー)の波乱に満ちた生涯を、史実に基づいて描いた壮大な歴史絵巻です。
芸術と孤独に心を傾け、壮麗な城を次々と築き上げたルートヴィヒの姿を、ヴィスコンティは耽美的かつ重厚な映像美で映し出しています。
*ドイツ三部作:『地獄に堕ちた勇者ども(1969)』『ベニスに死す(1971)』『ルードウィヒ 神々の黄昏(1972)』
音楽家ワーグナーとの危うい絆、従姉エリーザベトへの報われぬ想い、そして同性愛に揺れる心の軌跡も、きめ細やかに織り込まれています。
やがて、贅沢な夢に莫大な資金をつぎ込んだルートヴィヒは、国の財政を苦しめる存在となり、精神を病んだとされて王位を追われます。
1886年、幽閉先で医師とともに謎の死を遂げるラストは、観る者に深い悲劇の余韻を残します。
映画ファンだけでなく、『ポーの一族』や『風と木の詩』に象徴される「お耽美」世界を愛する女性たちの間でも、大きなブームとなった作品です。
チラシ裏面にコメントを寄せているのが、淀川長治さんと渋澤龍彦さんと言うのがグッときますよね。
初公開時は184分版で上映されましたが、2006年のヴィスコンティ生誕100周年には、237分に復元された『ルードヴィィヒ【完全復元版】』も公開(ウィがヴィに変わっている)。
現在ではタイトルから「神々の黄昏」の副題を省いた表記が一般的になっています。